『算数ラボ図形~空間認識力のトレーニング』10級の残念なところ・オススメなところ

「算数ラボ図形~空間認識力のトレーニング」は、私が小学生クラスで取り入れている「算数ラボ〜考える力のトレーニング」の同シリーズで、空間認識力を伸ばすことに特化した問題集

「算数ラボ図形」の購入を検討されている方向けに、「算数ラボ図形」10級のちょっと残念な点と、オススメな点をお伝えしたいと思います。

「算数ラボ 図形」ってどんな教材?

上で述べた通り、「算数ラボ図形」は空間認識力を伸ばすことに特化した問題集。


算数ラボ図形 空間認識力のトレーニング 10級

この問題集は、さまざまな種類の問題に挑戦して、
考えることのトレーニングを続けることで、

考えることの楽しさがわかり
考えることが好きになり
空間認識力が伸びる

ように作られています。

また「算数・数学 思考力検定」で使用された問題ととともに、新作の問題も数多く出題されています。

※ちなみに「算数・数学 思考力検定」とは、算数・数学の問題を解くことを通じて子どもの「思考力」の程度を知るための検定。
詳しくは、こちらの記事も参考にしてみてくださいね>>>「数学・算数検定」と「算数・数学思考力検定」の違いって何?どっちを受検すべき?

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「算数ラボ図形」の対象学年

「算数ラボ図形」の対象学年の目安は、「算数・数学 思考力検定」の受検の目安に対応して以下のとおりになっています。

●10級・・・小学1、2年生程度
● 9級・・・小学3年生程度
● 8級・・・小学4年生程度
● 7級・・・小学5年生程度
● 6級・・・小学6年生程度

「算数ラボ図形」の出題内容

「算数ラボ図形」の出題内容は、2つの【図形の内容】3つの【空間認識力の観点】から成り立っています。

【図形の内容】とは

・平面
・空間

【空間認識力の観点】とは

・形を変える
・図形を動かす
・方向を変える

この2つの【図形の内容】と、3つの【空間認識力の観点】の組み合わせで、問題が出題されています。

 

「算数ラボ図形」10級の残念なところ

では、まず「算数ラボ図形」10級のちょっと残念なところから。

「算数ラボ」と比較して、問題数が少ないのにお値段は上がっている。

「算数ラボ図形」10級は、難易度別にステージ①②③と「チャレンジ問題」に分かれています。
問題数は、ステージ①②③が30問ずつとチャレンジ問題が10問の、合計100問。

一方「算数ラボ」10級は、ステージ①②③とチャレンジ問題、確認テストを合わせてトータルで150問以上。
圧倒的な問題数の多さが特徴の「算数ラボ」と比較して、「算数ラボ」10級は50問以上少なくなってしまっています。

それでいてお値段は「算数ラボ」が880円なのに対し「算数ラボ図形」は1,100円と、なんと「算数ラボ図形」のほうが220円もお高くなってしまっています。

これは、とっても残念な点の一つです。

「算数ラボ」と違い、購入前にレベルを確認できない。

「算数ラボ」では、確認テスト①②を「思考力検定」のホームページからダウンロードして使用します。(※算数・数学 思考力検定 ダウンロードページ http://www.shikouryoku.jp/challenge/index.html

この確認テスト①②は誰でもダウンロードできるようになっているため、「算数ラボ」の購入を検討している人が何級からスタートすればよいか迷う場合は、この確認テストをダウンロードし、お子さんに合うレベルの級を確かめてから購入することが可能。

一方「算数ラボ図形」には確認テストがないためホームページ上で問題をダウンロードできず、購入前に実際の問題のレベルを確かめることができません。

問題のバリエーションが少ない。

「算数ラボ図形」は空間認識力を伸ばすことに特化しているので、問題のバリエーションが少なくなるのは当然のことなのですが・・・

「算数ラボ」では、空間認識力も含めた5つの【算数の内容の観点】3つの【考える力の観点】の掛け合わせで、さまざまなタイプの問題が出題されていますので子どもも飽きることなく取り組めますし、バランスよく算数的思考力を伸ばすことができるというメリットがあります。

一方「算数ラボ図形」の問題は、2つの【図形の内容】(平面・空間)と3つの【空間認識力の観点】(形を変える・図形を動かす
・方向を変える)からなっています。

具体的にはこのような感じです。

【平面】×【形を変える】・・・平面図形の合成、同図形発見、図形パズル、折り紙など

【平面】×【図形を動かす】・・・回転図形、切り紙など

【平面】×【方向を変える】・・・方眼上の移動、図形の反転など

【空間】×【方向を変える】・・・他方向からの見え方、積み木の数など

ちなみに「算数ラボ図形」10級では、【平面】の問題が100問中82問で、【空間】は18問のみ。
かつ【空間】×【形を変える】と【空間】×【図形を動かす】の問題はありませんので、問題のバリエーションはかなり少ないと言えます。

また「算数ラボ図形」10級に掲載されている問題のパターンの多くは「算数ラボ」10級でも網羅されており、「算数ラボ図形」特有の問題は少ないということも言えます。

【平面】×【形を変える】の問題例

ぴったり合うのは?①(ステージ①-2)平面図形の合成

めがねとぼうし(ステージ①-4)※同図形発見

ジグソーパズル(ステージ①-7)※図形パズル

おってみよう(ステージ①-10)※折り紙

【平面】×【図形を動かす】の問題例

ぴったり合うのは?②(ステージ①-3)※回転図形

同じもの(ステージ①-14)※回転図形

切ってみよう(ステージ②-24)※切り紙

【平面】×【方向を変える】の問題例

やじるしですすもう(ステージ①-19)※方眼上の移動

シャツのもよう(ステージ①-25)※図形の反転

【空間】×【方向を変える】の問題例

どう見える?②(ステージ①-30)※他方向からの見え方

つみ木の数(ステージ②-13)※積み木の数

「算数ラボ図形」10級」のオススメなポイント

同系統の問題をくりかえし解いて確実に習得できる

上で述べたとおり、「算数ラボ図形」10級は問題のバリエーションが少ないのが残念な点ですが、裏を返せば、似たようなパターンの問題を、少しずつ難易度を上げながら繰り返し解くことで、そのパターンを確実に習得できるということが言えます。

特に、図形を頭の中で回転させたり裏返してみたり、自分以外の方向からどう見えるか等、図形を自由にイメージすることがまだ難しいお子さんは、実際に積み木やパズル、折り紙などを使って図形感覚をやしなっていくのと並行して、こちらのドリルで理解を定着させていくのもオススメです。

図形・空間認識以外の力も求められる

「算数ラボ図形10級」は”空間認識力を伸ばすことに特化した問題集”ではありますが、実際に問題を見てみると、図形問題とは言っても感覚的に解けるような問題ばかりというわけではありません。

図形や記号を題材にはしていても、論理的に答えを導き出していくパズル的な問題や、文をしっかり読み込んで内容を理解しないと解けない問題がけっこう含まれています。

例えば、

5まいのお金(ステージ①-6)※【平面】×【形を変える】

おもさくらべ(ステージ①-9)※【平面】×【形を変える】

くりかえし(ステージ①-15)※【平面】×【図形を動かす】

これらは、“図形”を題材にはしているものの、図形問題というよりは論理的思考力を求められる問題です。

また、

どこにいるかな?(ステージ③-24)※【空間】×【方向を変える】

みさきさんから見たさいころ(ステージ③-27)※【空間】×【方向を変える】

これらは空間認識力を問われる問題ではありますが、感覚的に解けるものではなく、複雑な問題文をしっかり読まないと解けない、読解力を求められる問題になっています。

なお、このような問題文の読み込みが必要な問題は、ステージ③や「チャレンジ問題」で多くなります。

以上のように、『算数ラボ図形10級』は空間認識力を伸ばすことに特化しつつも、それにとどまらず、あくまでも”思考力”のトレーニングに重点を置いた問題集であるということが言えると思います。

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まとめ

「算数ラボ図形」10級の“残念なところ”と“オススメなところ”をまとめます。

 「算数ラボ図形 10級」の残念なところ

・「算数ラボ」と比較して、問題数が少ないのにお値段は上がっている。

・「算数ラボ」と違い、購入前にレベルを確認できない。

・問題のバリエーションが少ない。

「算数ラボ図形 10級」のオススメなところ

同系統の問題をくりかえし解いて確実に習得できる。

・図形・空間認識以外の力も伸ばせる。

これらの点を踏まえると、「算数ラボ図形」10級の前にまずは「算数ラボ10級」に取り組み、特に図形・空間認識力系の問題が特に苦手と感じられた場合には「算数ラボ図形」10級で苦手克服に取り組む、という流れがおすすめです。

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なおこちらの記事では、『算数ラボ 図形』の他にも図形センス、空間認識力をやしなう小学校低学年向けおすすめのドリル・問題集をご紹介していますので、参考にしてみてくださいね!

*関連記事:小学校低学年の算数:思考力系おすすめドリル・問題集まとめ

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