小学生のケアレスミスをなくす方法は!?3つのステップでうっかりミスを解消しよう!

「ウチの子、うっかりミスが多くて・・・」という声を、生徒さまの親御さんからよく伺います。

しかしながら、「次は気をつけなさい」と注意したところで、子どものケアレスミスはいつまでたっても直りません。

こちらの記事では、小学生のお子さんがケアレスミスをなくす方法についてご紹介します。

アエラウィズキッズ2012年冬号の記事『致命傷になる前に直す わが子のケアレスミス』にて、ケアレスミス対策の著書もある中学受験専門塾・アテナ進学ゼミ主宰の宮本毅さん、算数教育のエキスパートである、元筑波大学付属小学校副校長の田中博史さんが、ケアレスミスを直す方法について教えてくれています。


AERA with Kids (アエラ ウィズ キッズ) 2012 冬号 [雑誌]

こちらの雑誌自体の発行はかなり前になりますが、記事は現在もとても役に立つ内容になっていますので、今回はこちらの記事を参考に、小学生のお子さんがケアレスミスをなくす方法についてご紹介したいと思います。

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小学生がケアレスミスをなくす3つのステップ

小学生がケアレスミスをなくす3つのステップは以下のとおり。

①本当に”うっかりミス”なのかを見極める

➁”ミスのくせ”を子ども自身に気づかせ、克服させる

③子どもの性格を踏まえて注意力を育む

このステップを踏まえて、お子さんのケアレスミスをなくしていきましょう。

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①”本当にケアレスミスなのか”を見極める

我が子のいわゆる”うっかりミス”、本当にケアレスミスなのでしょうか?

親御さんがケアレスミスだと思っている間違いの中には、学習内容がちゃんと理解できていないことが原因で解けなかったものや、その分野の問題を解きなれていないことが原因で間違えたものが混じっていることも。

まずはお子さんのミスの原因を見極めて、ケアレスミスを洗い出すことが必要になります。

一見ケアレスミスに見える3つの間違い

 

車で時速45kmで3時間走ったとき、どれだけ進むでしょうか。

(間違い例)45÷3=15km

上記のような間違いの場合、たとえ子どもが「÷と×を間違えただけ」と言ったとしても、それを単なる”うっかりミス”として見過ごしてはいけません。

そもそも根本的な考え方がわかっていないことによるミスの可能性があるからです。

りんこ
どうしてこの式で答えが求められるのか?を説明させてみましょう。

根本的な考え方がきちんと理解できていないようなら、教科書やワークに戻ってしっかりと基礎から復習する必要があります。


➁練習不足による間違い

例:計算問題が時間不足で最後まで解き切れていない、九九の間違いや漢字の書き間違いなど

漢字の書き取りや九九など、憶えてさえいれば正解できる問題で間違えてしまう場合は、ケアレスミスというより単純な「練習不足」が疑われます。

これらについては、問題を見たら答えがぱっと出てくるまで問題演習をしたり繰り返し書くなどして定着させる必要があります。


③ケアレスミスによる間違い

例:少数のかけ算で小数点の位置を書き間違える、答えの書き間違い、単位のつけ忘れなどの単純なミス
上記のように、間違いの中から「理解不足による間違い」と「練習不足による間違い」をふるい落とした後に残ったものが、いわゆる”ケアレスミス”である可能性が高くなります。

ケアレスミスをあぶり出す方法

お子さんのケアレスミスを洗い出すために活用したいのが、テストの答案。

親御さんにしてみれば、答案を前にするとついつい点数に目が行ってしまいがちですが・・・

テストの答案はお医者さんにとってのカルテのようなもの。
我が子が「どこを理解しているか」「どんなミスをしやすいか」といった情報が詰まっています。

りんこ
間違いがあったら「直すところが見つかってラッキー」という気持ちで見るようにしましょう

まずは親子で会話をしながら、間違えたところが「理解不足によるミス」なのか「練習不足によるミス」なのか、それとも「ケアレスミス」なのかを見極めることが必要です。

親子でケアレスミスをあぶり出す方法には以下の2つがあげられます。

①返ってきた答案に「悔しい」間違いの順位をつけさせる

帰ってきた答案を見て、間違えた問題に対して「悔しい間違い」の順位をつけさせます。

本来なら〇をもらえたはずなのに、”うっかり”で×になってしまった問題ほど悔しさを強く感じるもの。

お子さんに「どの間違いが悔しい?」と聞いてみましょう。

逆に悔しさを感じないものは、そもそも理解できていない「理解不足」の間違いである可能性が高いので、ケアレスミスとは切り離して、基礎に戻って復習を行いましょう。

 

➁テスト中に、正解の自信に応じて〇△×をつけさせる

子どもがテストを受けている時に、正解している自信がある問題に〇、あまり自信がない問題に△、まったく自信がないものに×をつけさせる方法も有効。

テストが返ってきたとき、〇をつけたのに間違えていればケアレスミス、×だったらそもそも理解できていない、ということが分かります。

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➁”ミスのくせ”を子ども自身に気づかせ、克服させる

 

”ミスのくせ”を子ども自身に気づかせるには

ケアレスミスをなくす上でいちばん大切なのは、子ども自身が「自分がどこでよくミスをするか」に気づくこと。

ケアレスミス自体は単純なものなので、どこに気を付ければよいかがわかれば防ぐことが可能です。

しかしながら、ケアレスミスは本人自身が自覚しないと直らないので、親が先回りして「単位を書き忘れがちだから気をつけなさい」などと指摘したり、「次から気をつけなさい」と漠然と注意する、またミスしたことを責めるするだけでは効果がありません。

子どもに自分のミスを意識づけさせるには、「テストの答案を見ながら親子で会話すること」がもっとも大切。

テストを見ながら、子どもに考えさせる問いかけをしましょう。

「どの間違いが悔しい?」「自分の弱点はどこだと思う?」「次に直せるのはどこかな?」など、子どもの気持ちに共感しながら、自分の行動を振り返るよう誘導してあげることで、子ども自身が「繰り上がりの1を書き忘れちゃった」などと気づき、「次は絶対に間違えないようにしよう」と意識できるように。

「おさらいテスト」で”ミスのくせ”を克服する

子ども自身が”ミスのくせ”に気づくことができたら、子どものミスしやすいポイントを含んだ「おさらいテスト」を作成して、ミスを克服しましょう。

「おさらいテスト」のポイントは以下のとおり。

①「おさらいテスト」はすぐにやる

テストの答案を見直したときの記憶が鮮明なうちに再テストをすることで、ミスのくせがより強く印象づけられます。

できれば、テストを見直したその日か翌日に取り組むようにしましょう。

➁”ミスのくせ”は1種類だけ入れる

注意すべきポイントが多いと結局すべて見落としてしまいかねません。

例えば「繰り上がりのたし算」など、1回のテストにつきポイントは1つに絞りましょう。

③”ミスのくせ”が入った問題は3割まで

たとえ繰り上がりのミスが多いからといって、その苦手な繰り上がりばかりをやるのは子どももイヤになってしまいます。

ちょうどいい問題配分は、得意な問題7割、ミスしやすい問題3割。

ケアレスミスをしがちな問題がところどころに紛れているほうが適度な緊張感やゲーム性が感じられ、より集中して解くことができます。

④解けたらすかさずほめる

今までミスしていた問題が解けたら「すごいね」「できるようになったね」とほめてあげましょう。

子どもは達成感を感じ、さらにやる気を出します。

「できて当たり前」は絶対にNG、と肝に銘じてください。

注意力を育む3つのポイント

①解答するときの優先順位をしっかり教える

問題を解く際の優先順位は、●文字をしっかり書く⇒●正確に解く⇒●速く解く の順。

しかしながら、ミスの多い子はこの順位が逆になっている場合が多いとのこと。

りんこ
特に算数の計算などは速く解くことを良しとすることがありますが・・・

小学校低学年でまだ文字がしっかり書けないうちから速さを求めると、なぐり書きのクセがついてしまい、自分が書いた数字を読み間違える、といったミスにつながりかねません。

まずは、丁寧に・正確に書く習慣をつけることが大切になります。

 

➁テストに集中し続けられる”勉強の体力”を身につける

集中力が途切れた時にもケアレスミスが起きやすくなります。

少なくともテストの時間中は最後まで集中して問題と向き合えるよう、家庭学習の時間を調整するのがおすすめ。

りんこ
目安は、低学年で20~30分、高学年で45分ていど

③日常生活での失敗を親が取り除かない

親はつい子どもの周りからケガや失敗につながりそうなものを取り除きがち。

りんこ
手が切れない包丁や割れにくい皿などなど・・・

しかしながら、危険だからと失敗の要因を取り除いてしまうのも注意力を低下させる一因になるとのこと。

 

注意力は失敗を重ねてこそ鍛えられるもの。危なくない限り、なるべく自然な環境で子どもの感覚に任せるほうが、物事に向き合うときの注意力を養うことができます。

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③ケアレスミスしやすい性格2大タイプの傾向と対策

子どもの性格によっても、ケアレスミス対策が必要な場合があります。

ケアレスミスを起こしがちな性格は、せかせかした「あわてんぼう」タイプと、ぼんやりした「マイペース」タイプの2つ。

この2つのいずれかに当てはまる場合は、タイプに合った対策も行うことでミスを減らすことが可能に。

ケアレスミス タイプ診断テスト

ケアレスミスを起こしがちな「せかせか」「ぼんやり」といった性格は、日常生活にも表れます。

親子でいっしょに日頃の行動を振り返りながら、あてはまる行動をチェックしていきましょう。

1 間違えても、消しゴムを使わないときがある
2 「忘れ物が多いですね」と、先生からよく注意を受ける
3 余計なことを言って後で後悔することがある
4 お風呂に30分以上入っている
5 買い物に行って、欲しかった物ではない物を買ってしまったことがある
6 トイレの水を流し忘れたことがある
7 家具や柱に足をよくぶつける
8 プラモデルを組み立てるのが得意だ
9 横断歩道を飛び出して、自動車にひかれそうになった(ひかれた)ことがある
10 友達との約束を忘れて、すっぽかしたことがある
11 コップをよくひっくり返す
12 人の話を聞き逃し、聞き返すことがよくある
13 熱い飲み物をいきなり口に入れて、やけどをしたことがある
14 時計をあまり見ない
15 階段を踏み外すことがよくある
16 学校に傘をよく忘れる
17 信号が赤でも、車が見えないと渡ってしまう
18 ジグソーパズルなどを何日もかけて組み立てるのが好きなほうだ
19 エスカレーターを歩いて上る/下る
20 ご飯はゆっくり時間をかけて食べる
奇数の項目に〇が多い・・・せかせか「あわてんぼう」タイプ
偶数の項目に〇が多い・・・ぼんやり「マイペース」タイプ

ケアレスミスしやすい性格2大タイプ別の対策方法

「せかせか」あわてんぼうタイプ

あわてんぼうタイプに多いミスの例

・問題の読み飛ばし
・条件の読み落とし
・解答の書き間違い

マンガの「サザエさん」のように、どちらかというと「せかせか」に当てはまるのがこのタイプ。
言わば”おっちょこちょいのあわてんぼう”で、「左右をよく確認しないで横断歩道を渡る」「エスカレーターで歩く」といった具合に、気持ちも行動も前へ前へと行きがちなのが特徴。
そのため、早とちりして問題の条件を確認せずに解いてしまったり、せっかく解けた答えを解答欄に描き間違えてしまうなどの”おっちょこちょい”なミスをする傾向にある。

あわてんぼうタイプのケアレスミス対策

・解答の前に一拍おく
・解答時間をフルに使う練習を
・日常生活でも行動前に一呼吸おくことを心がける

せっかちな「あわてんぼうタイプ」は、焦りから慌ててしまう場合が多いため、「テスト前に深呼吸をする」「得意な問題でも一気に取りかからない」など、何かをする前に常にひと呼吸おいてから行動するよう改善をしていきましょう。
日常生活でも「青信号でも必ず左右を確認する」「靴を脱いだら揃える」といったことを心がけるようにするとGOOD。
りんこ
「ミスをしないように」などとプレッシャーをかけると、ますます慌ててしまうので要注意!
またテストでムダに慌ててしまうことのないよう、問題集などに設定されている制限時間を活用してペース感覚を身につけさせるのも有効。
やり方は以下のとおり。

制限時間が15分のものなら、全体を3つに分け、5分ごとにキッチンタイマーを鳴らす。

タイマーが鳴るごとに、全体の3分の1、3分の2が終わっているか、声をかける。

※早すぎても遅すぎてもダメ。配分どおりのペースで進めて、時間をフルに使うように促す。

「ぼんやり」マイペースタイプ

マイペースタイプに多いミスの例

・条件を忘れる
・単位の見落とし
・解答欄の間違い

大すきなはちみつを夢中で食べているうちに、パンパンになったおなかがつかえて穴から出られなくなってしまったくまのプーさんのように、どちらかというと「ぼんやり」しているタイプ。
注意力散漫なため「忘れ物が多い」「トイレの水を流し忘れる」といった失敗を起こしやすく、テストでは、問題の大事な部分を読み忘れたり、せっかく解けた答えを解答欄に描き忘れるなど”落とし物”をしがち。
マイペースタイプのケアレスミス対策

・問題文に下線を引く
・”ミスのくせ”の対策をつぶやく練習をする
・日常生活でも指さし確認を習慣づける
「マイペースタイプ」は注意が散漫になりがちなので、常にひとつのことに注意が向くような工夫をしましょう。
勉強では問題文を鉛筆や指でなぞる、キーワードを〇で囲むなどの他、日常生活でも持ち物や鍵の開け閉めなどを”指さし確認”するクセをつけさせていくのが効果的。
また「あわてんぼうタイプ」と同様、問題集などに設定されている制限時間を活用してペース感覚を身につけさせるのも有効。
やり方は以下のとおりです。

制限時間が15分のものなら、全体を3つに分け、5分ごとにキッチンタイマーを鳴らす。

タイマーが鳴るごとに、全体の3分の1、3分の2が終わっているか、声をかける。

※早すぎても遅すぎてもダメ。配分どおりのペースで進めて、時間をフルに使うように促す。はかどっていないようなら、集中するよう声をかける。

最後に

算数教育のエキスパートである、元筑波大学付属小学校副校長の田中博史さん曰く、「テストの点数は本人の予想を2割ほど下回る傾向がある」とのこと。

その2割の失点こそが、解けたはずなのに”うっかり”で落としてしまった部分。

大事なテストで”うっかり”に泣く前に、早めにケアレスミスをなくすべく手を打っておく必要があります。

ぜひ低学年のうちから、子ども自身が”うっかりミス”に対する意識を変えられるよう働きかけてあげましょう。

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