小学校低学年の国語のキモとなる、漢字の学習。
「子どもがなかなか漢字を覚えられない・・・」という悩みをお持ちの親御さんも多いのではないでしょうか。
”漢字はひたすら書いて覚えるのみ”というイメージがありますが、ポイントを押さえることで覚えやすくなります。
今回は、百ます計算をはじめとする「徹底反復シリーズ」でおなじみの陰山英男先生と、受験に関する著書多数の和田秀樹先生との共著「学力をつける100のメソッド」で両先生が述べられていることや、私が実際にレッスンで行っている内容を踏まえて、小学生のお子さんが漢字を覚えやすくするコツについてお伝えします。
小学生の漢字、覚えやすくする6つのコツ
・習っていない漢字もまとめて一気に覚える
上述の「学力をつける100のメソッド」によると、陰山先生は“学年のはじめに一年間の漢字をすべて覚えさせる”ことを推奨しています。
これは、早い段階で一通り学習を終えてしまった上で、繰り返し練習して記憶を定着させるため。
一学年の漢字すべてといっても、1年生で80字・2年生で160字・3年生は200字なので、集中的に詰め込めば子どもたちは案外覚えてしまうもの、と陰山先生はおっしゃっています。
この点については和田先生も同意見で、教科書に出てきた漢字をその都度1個、2個と覚えるのは効率が悪い、と述べています。
また、早くからたくさんの漢字を知っていると文章がスラスラと楽に読めるため、文章を読む機会が増えることでさらに新しい漢字や熟語が身につくという好循環が生まれることにもなります。
・教材はアレもコレもと手を出さず、1つに絞って徹底的にくりかえす
陰山先生によると、漢字を覚える際には、あれもこれもといろんな教材に手を出すよりも、1つの教材に絞って徹底的に反復するのが有効。
反復することで記憶の保持率が高まるのも理由の1つですが、それ以外にも、1つの教材をずっと使い続けることにより「この漢字は、あのドリルの最初のほうのページのあのあたりに載っていたな」などと、過去に学習した記憶が写真のフィルムのように蘇ることがあるとか。
そのような映像的な記憶(右脳によるイメージ記憶のようなものでしょうか)の力も期待できるという意味で、あれこれと教材を浮気するよりも1つに絞ってやり込むほうがオススメの方法になります。
なお陰山メソッドの教材「徹底反復シリーズ 一年生の漢字」は、
それぞれの漢字について
→②漢字のなぞり書き(短文で)
→③漢字の書き(短文で)
→④熟語の書き(3回ずつ)
→⑤テスト
といった流れで、その名のとおり“徹底的に反復”できるのが特徴の教材となっています。
・漢字単体ではなく、短文や熟語として覚える
漢字だけを単体で覚えるのではなく、その漢字を使った熟語として覚えたり、その漢字が含まれる文章を、他の漢字も合わせて文全体で覚えることで、漢字や言葉の意味の理解が深まります。
小学生クラスのレッスンをしていると、ある漢字の訓読みは知っていても音読みは知らない、ゆえに、その漢字を使った熟語を知らない・読めないなどということがよくあります。
せっかく漢字を習うのに、一つの読み方しか習わないというのはもったいないですよね。
その漢字が使われている複数の熟語(音読み・訓読み含め)を一度に学ぶほうが効率は良いはずです。
上でご紹介した陰山メソッドの教材「徹底反復シリーズ 一年生の漢字」は、それぞれの漢字について、
・漢字単体ではなく文章のかたちで、その他の漢字もまとめて練習できる。
・その漢字を使った熟語が複数載っていて、意味まで書かれているため語彙が増える。
という点もポイントとなっています。
・関連する漢字をまとめて覚える
漢字を文章や熟語で覚えるのと同様、関連性の高い漢字をまとめて覚えるのが和田先生おすすめの方法。
たとえば、
・「色」に関連するもの・・・赤、青、白、金(1年生)黃、黒(2年生)、緑、銀(3年生)
・「体」に関連するもの・・・目、口、耳、手、足(1年生)顔(2年生)鼻(3年生)舌(5年生)
・ゲームやクイズで遊びながら覚える
ひとつの教材で徹底的に反復して漢字を覚える、という方法に加えて、遊びながら漢字を楽しく学べる工夫も大切。
漢字を題材にしたゲームやかるたは、いろいろ発売されています。
また、私が教室で使っている「小学生の漢字パズル 1・2・3年生 ~楽しみながら成績アップ~ 」は、小学校1~3年生向けの漢字を題材にしたクイズやパズルの問題を解きながら漢字に親しんでいくという内容。
ただひたすら書いて覚えるドリル系の教材とは全然違って、お遊び感覚で取り組める問題集です。
絵でかかれたところを漢字に直そう。
(漢字のなりたちを理解する)
次の絵をもとにして漢字にしてみよう。
(漢字のなりたちを理解する)
計算の答えは何?漢字一字で答えてね。
(漢字と漢字で新しい漢字を作る)
漢字の材料から完成品を作ろう。
(漢字の形をきちんと覚えているかどうかを確かめる)
間違った漢字がまぎれこんでいます。
(たくさんの漢字の中に違う漢字が混ざっているのを見つける)
カップとお皿を正しく組み合わせてね。
(似た者同士の漢字を組み合わせて熟語を作る)
・漢検(日本漢字能力検定)にチャレンジする
単調になってしまいがちな漢字の反復練習ですが、お子さんのモチベーションを上げる手段として、日本漢字能力検定(漢検)にチャレンジしてみるのもよいですね。
漢検は10級から1級まであり、10級は小学校1年生レベル、9級は小学校2年生レベル・・・と、それぞれ当該の学年までで習う漢字が出題範囲となっています。
検定は年3回実施されますが、検定を目指して対策をすることにより、上で紹介した「習ってない漢字も含めて、その学年の漢字をまとめて学習する」という陰山先生の推奨する手法にも合致します。
漢検に限らず、小学校低学年のお子さんが検定を受検するメリットとして、
・目的を持って学習ができる
・結果が目に見えてあらわれるため自信につながる
といった意味でもオススメです。
※関連記事:「漢検(日本漢字能力検定)」と「漢熟検(漢字習熟度検定)」のちがいは何?小学校低学年が受検すべきなのは?
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最後に
漢字の学習は国語の勉強には必須ですが、それだけにとどまらず、知っている漢字の数が違えば入ってくる知識や情報の量もおのずと違ってきます。
ぜひ漢字の覚え方のコツを意識して、お子さんの漢字の学習に役立ててくださいね。