小学校の『プログラミング教育必修化』に向けて、押さえておくべきポイントは?

2020年度より施行される新学習指導要領で、小学校での『プログラミング教育』が必修化されることが示され、何となく不安に感じていらっしゃる親御さんは多いのではないかと思います。

実際、2018年にイー・ラーニング研究所が実施したアンケートでは、「2019年に子どもにさせたい習い事」で、「英会話スクール」と同数で「プログラミング教室」が第一位だったそうです。(参照;子どもがいる親世代に聞いた「年末年始の習い事アンケート」2018年に話題になった子どもの習い事、2019年にさせたい習い事の第1位は、どちらも「プログラミング教室」に

「やっぱりプログラミング教室に通わせたほうがいいのかしら?」と悩む前に、プログラミング教育について知っておくべきポイントをお伝えしたいと思います。

『プログラミング教育必修化』で押さえておくべきポイント

「そもそも『プログラミング教育』とは?」について押さえておくべきポイントは以下の2つです。

「プログラミング」という教科ができるわけではない

「プログラミング教育必修化」と言っても、「プログラミング」という教科が新たにできるわけではありません。

プログラミング教育は、算数・理科・総合的な学習の時間など、すでにある教科の中に盛りり込まれるかたちで実践されます。

具体的にプログラミング学習が実施される学年や単元、時間数などは、各学校の判断に任せられています。

また、教科ではないので決まった教科書はなく、試験で成績が評価されるわけでもありません。

プログラマーになるための教育ではない

文部科学省による「小学校プログラミング教育の手引き」には、小学校におけるプログラミング教育のねらいについて、以下のように述べられています。

「プログラミング的思考」を育むこと

②プログラムの働きやよさ、情報社会がコンピュータ等の情報技術によって支えられていることなどに気付くことができるようにするとともに、コンピュータ等を上手に活用して身近な問題を解決したり、よりよい社会を築いたりしようとする態度を育むこと

③各教科等の内容を指導する中で実施する場合には、各教科等での学びをより確実なものとすること

 

 「小学校プログラミング教育の手引」より

上記のとおり、「プログラミング教育」と言っても、プログラミング言語を使ったコーディング等、プログラマーになるための技術を学ぶことが目的ではない、ということがわかります。

もちろん、プログラミング教育が必修化される背景には、IT人材の不足に対応するため、早い段階からのプログラミング教育を行いIT人材の裾野を広げるというねらいもあります。

とは言うものの、プログラミング教育によって子どもたちが自然にプログラミング言語を覚えたり、プログラミングの技能を習得したりすることはあるとしても、あくまでもそのこと自体がねらいではないということです。

プログラミング教育の目的とは

上記を踏まえ「プログラミング教育」の目的は、大きく2つになります。

ITリテラシーを身につける

ITリテラシーとは、コンピューターやインターネットをうまく使いこなす力のこと。
もはや、ITを使いこなす力はこれからの社会を生きていく上で必須であるということはどなたも異論のないことと思います。

具体的には、パソコンでの文字入力など基本的な操作スキルの他、インターネットを使った情報収集や発信のスキル、「情報モラル」などの情報活用能力も重要視されています。

また、プログラミング体験をとおしてコンピューターの面白さや便利さを知って興味・関心を持たせ、「もっと活用したい」という意欲を引き出すことも、プログラミング教育の目的のひとつです。

『プログラミング的思考』を学ぶ

文部科学省による「小学校プログラミング教育の手引き」では、『プログラミング思考』を次のように定義しています。

自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような動きの組合せが必要であり、一つ一つの動きに対応した記号を、どのように組み合わせたらいいのか、記号の組合せをどのように改善していけば、より意図した活動に近づくのか、といったことを論理的に考えていく力

「小学校プログラミング教育の手引」より

すなわち、プログラムの目的に向けて「プロセス(必要な動き)を細かく分ける」「動きに対応した命令をする」「実行する」「課題を発見する」という流れを、トライ&エラーを繰り返しながら行い改善していく、いわゆる“論理的思考力”、“問題解決能力“、“試行錯誤力”といった能力が『プログラミング的思考』であると言えそうです。

プログラミングを学ぶことで、将来どんな職業に就くにしても、また社会生活のあらゆる場面においても普遍的に求められる力としての「プログラミング的思考」を育成することが、プログラミング教育の目的となります。

プログラミングの授業ではどんなことをするの?

プログラミングの授業といっても、現時点では、各小学校の状況に合わせてどのように授業に取り入れていくのか、教材の開発や指導の仕方を検討しているといった段階のようで、具体的なイメージはまだ見えてきてはいません。

しかしながら、プログラミング教室で行われているような内容がそのまま学校の授業で行われるわけではなく、あくまでも教科と合わせて学ぶのが前提。

実際にコンピュータを使ってプログラミングを体験する場面はあっても、小学校では、むずかしいコードを書く必要がなく、ドラッグ&ドロップといった視覚的な操作でプログラミングが可能な「ビジュアルプログラミング言語」を使うことがほとんど。遊び感覚で学べるように工夫されています。

またパソコンやタブレットを使わず、紙と鉛筆、またはカード教材などを使ってコンピュータの基本的なしくみやプログラミング的思考を学ぶ「アンプラグド」と呼ばれる授業も。

プログラミング学習に向けて家庭でしておくべきこととは

来たるべき小学校での「プログラミング教育必修化」に向けて、ご家庭で準備しておくべきは、「ITが身近にある環境を整え、お子さんの苦手意識や抵抗感をなくす」こと。

昨今はスマホやタブレットなどのITデバイスが身近にあることがあたりまえになっていますが、パソコンには触ったことがなく(いやむしろ普段は触っちゃダメと言われていたりして)抵抗感があるというお子さんもいらっしゃるかもしれません。

ぜひ、ご家庭でも身近にITデバイスがある環境を整え、お子さんがパソコンに触れる機会をつくったり、苦手意識をなくすことを目指しましょう。

また、どちらかといえばお子さんよりも親御さんのほうがITに苦手意識を持っていて、「子どもにちゃんと教えられるか心配・・・」と不安を感じていらっしゃる場合も多いかもしれませんね。

親が苦手、もしくは「よくわからないから」といった理由でやみくもに遠ざけてしまっては、お子さんが学ぶ機会を失わせてしまいます。

「やってみたい」という気持ちを尊重して、親御さんも一緒に学んでいくという姿勢が必要になってきます。

昨今ではプログラミングを楽しく学ぶためのソフトやアプリ等がたくさんありますので、親御さんも尻込みすせずに、お子さんの取り組みをそばで見守り、またお子さんが誤った使い方をしないようしっかりと導いてあげることが必要です。

『プログラミング学習』を取り入れている小学生向け通信教育

ご家庭でプログラミングに触れるツールとして、通信教育の教材が選択肢の一つとしてあげられます。

通信教育をお子さんの学習の選択肢として検討されている方は、“プログラミングを学べるかどうか”も選択基準の1つに加えてみても良いかもしれませんね。

以下で、小学校低学年向けの通信教育で、プログラミングが学べるものをご紹介していますので参考にしてみてくださいね。

講座名 対象学年 形態 内容 頻度 追加料金
進研ゼミ小学講座チャレンジ

1年生~ PCより会員ページ(チャレンジウェブ)にて 1・2年生:プログラミング体験(プログラミングのしくみを学ぶ)

3年生~:実際にやってみる、教科(算数、理科、社会)×プログラミング

なし
進研ゼミ小学講座チャレンジタッチ

1年生~ 専用タブレット

もしくは

PCより会員ページ(チャレンジウェブ)にて

同上 なし
スマイルゼミ



1年生~ 専用タブレット 教科(算数、理科、社会)×プログラミング

※サイコロを転がそう;算数×プログラミング、ごみを分別しよう;理科・社会×プログラミング等

年3回(春・夏・冬)配信 なし
Z会

1・2年生 PC、タブレット、スマートフォンより専用サイトにて(インターネット接続) 「プログラミング学習 Z-pro」

ソニー・グローバルエデュケーションとの共同開発の体験型プログラミング教材

 年4回 なし

※Z会プログラミング講座 「with LEGO® Education」(1〜4年生推奨)は有料。月額5,000円、教材費別途26,136円

最後に

今はまだ「小学生でプログラミングなんて・・・」という感が強いかもしれませんが、とはいえ2020年はもうすぐそこ。
ご家庭で、できる範囲で「プログラミング学習」に向けた準備を始めてみてはいかがでしょうか。