『発達障害のある子の認知機能を高めよう!基礎能力アップパズル』で注意力・行動調整力・ワーキングメモリを鍛える

「落ち着きがない」「集中力が続かない」「言われたとおりにできない」

・・・このような悩みを抱えて、学校や家庭でお困りのお子さんは多いですよね。

誰にでも得意・不得意がありますが、得意なことと苦手なことの差が特に大きいと、苦手なことに引きずられて、本来は得意なことにも力を発揮できていない場合も。

『発達障害のある子の認知機能を高めよう!基礎能力アップパズル』は、1日5分程度パズルをすることで脳の「認知機能」を高め、脳の力を全体的にベースアップしていくことを目的としています。

学校などの日常生活で困っているお子さんだけでなく、本来の自分の力をうまく発揮できていないと感じているお子さんが、脳の力を全体的に底上げして本来の力を発揮できるようになることにもつながります。


基礎脳力アップパズル―発達障害のある子の認知機能を高めよう! (学研のヒューマンケアブックス)

『発達障害のある子の認知機能を高めよう!基礎能力アップパズル』で伸ばせる3つの脳の認知機能

認知機能(にんちきのう)とは、「ヒトが情報をとらえ、処理し、適切な行動として表出する一連の過程」のこと。

『発達障害のある子の認知機能を高めよう!基礎能力アップパズル』では、脳の認知機能の働きを「注意力」「行動調整力」「ワーキングメモリ」とし、この3つの力を伸ばすことを目的としています。

注意力(Attention)

集中して学習するためには「注意をどこに向けるかをコントロールする」という脳の認知機能がうまく働いていることが必要となります。

『発達障害のある子の認知機能を高めよう!基礎能力アップパズル』では、この集中力をつかさどる脳の働きを「注意力」と呼び、「注意力」を形づくる以下の4つの要素についてトレーニングを行い集中力を高めていきます。

「注意力」の4つの要素

①持続力・・・一定期時間、集中し続ける力

②選択力・・・注目すべきものとそうでないものを区別し、必要なものには注意を向けながら、必要でないものを背景におさめておく力

③切替力・・・一つのものから別のものに集中を切り替えることを自在に繰り返す力

④分配力・・・同時に複数のことに留意しながら作業を進める力

本書では、①の持続力(一定時間集中できる力)を注意力の土台として伸ばしつつ、他の3つの注意力(②選択力③切替力④分配力)を育てていきます。

シートの中から「0(ゼロ)」を探して丸で囲む。

たくさんの数字の中から「0」だけを探すことで、特定のものに注意を向ける力=「選択力」を伸ばす取り組み。

注目すべきものとそうでないものを区別し、必要なものだけに注目して必要でないものには注意を向けないでおく力をやしないます。

りんこ

・外の音が気になるけれど、今は授業中だから先生の話だけを聞く

・国語の読解のテストで、傍線部の箇所を探して答える

・・・などの場合に必要な力です。

隣同士の数字を足して、その答えを( )の中に書き入れる。

隣同士の数字を足すというシンプルな作業を飽きずにやりとおす力=「持続力」をつけることを目的とした取り組みです。

行動調整力(Control)

「行動調整力」とは、その場の状況に不必要な反応を抑制する力。

「行動調整力」が不足すると、授業中、先生の発問が終わらないうちに答えを言ってしまう等のように、今何をすべきか・何をしてはいけないかは分かっていても、つい考える前に行動してしまいます。

このような子どもは、勉強の場面で考えを整理する・取り組む順序を考えるといった熟考する作業をしないため、早すぎる判断をしてしまいがち。

りんこ
その結果、計算ミスなどのちょっとした間違いを繰り返し、しだいにやる気や自信を失ってしまうことに。

本書では、行動調整力を高めるトレーニングにより、段取りよく効率的に作業をこなす力や、拙速な判断を防ぎ秩序立った行動を企画する力を育てます。

ひらがなの「あ」から「ん」を50音順にさがして丸で囲む。

ルールに従って、順番に物事を進める力をやしなうことが目的の取り組みです。

グー、チョキ、パーのイラストに合わせて、じゃんけんで勝ったり負けたりする(イラストの下に色があれば勝ち、色がなければ負ける)

2つの相反するルールに従って行動を変更することで、その場の状況に合わせていったん考えてから行動する力を育てます。

ワーキングメモリ(WorkingMemory)

「ワーキングメモリ」とは、頭の中で短時間のあいだ情報を保持し、必要なときに保っていた情報を引き出し活用する力。

「ワーキングメモリ」が弱いと、日常生活で以下のような様子が見られます。

☑聞きまちがい、聞き返し、聞きもらしなど、聞くことに関する失敗が多い。

☑連絡帳を書きながら先生の話を聞くなど、同時に複数のことに気を配りながら作業をすることができない。

☑会話をしていても話題がそれていってしまう。

☑忘れものが多く、片づけが苦手。

本書では、目や耳からの情報を記憶し再現したり活用するトレーニングをとおしてワーキングメモリを育てます。

左のマス目の中にある黒い丸の位置を覚え、関係ない作業(耳で聞いた単語を繰り返して言う)をはさんで、覚えた位置と同じになるよう右のマス目を塗る。

頭の中で一時的に情報を保持し、保っていた情報を必要なときに引き出す力を伸ばします。

読み上げられた数字に、足し算(プラス1)をして口頭で答える。

聞いた情報を活用することを繰り返しワーキングメモリを鍛える取り組みです。

『発達障害のある子の認知機能を高めよう!基礎能力アップパズル』のおすすめポイント3つ

教材の効果が研究や実践によって検証されている

本書の著者、坂本 條樹氏が所属する所沢市立泉小学校内設置発達障害・情緒障害通級指導教室では、子どもの集中力の高まりを脳科学的方法を使って検証する試みとして、脳血流装置(NIRS)による測定を行うなどの研究を進めています。

NIRSにより、本書に掲載されている数字さがしの課題に取り組んでいる最中の子どもの脳の血流変化を測定したところ、課題に取り組んで一定時間がたち、次第にパズルの難易度が上がり考え込む時間も長くなってきた状態では、ワーキングメモリの中央実行系や能動的注意制御システムにおけるコントロール部分が存在するとされる右前頭前野背外側の脳血流が増加したとのこと。(※「通級指導教室における認知トレーニングが実行機能に及ぼす影響」参照

このような科学的な研究結果も含め、この本に掲載されている教材は実際に通級指導教室で取り組み効果があると判断された内容となっています。

パズルが500枚以上収録されたCD-ROM付き

『発達障害のある子の認知機能を高めよう!基礎能力アップパズル』にはCD-ROMが付属。

「注意力」「行動調整力」「ワーキングメモリ」を伸ばすためのパズルが500枚以上と、後で述べるアセスメントテストの問題が収録されています。

パズルは、「注意力(A)」「行動調整力(C)」「ワーキングメモリ(W)」の3つの力それぞれにつきa(初級)・b(中級)・c(上級)の3つのレベルに分かれており、レベルごとに6種類のパズルがそれぞれ10パターンずつ。

つまり、3つの認知機能(A、C、W)×3段階のレベル(a、b、c)×6種類×10パターン=計540枚となります。

りんこ
なお本誌には、全ての種類のアセスメントテストとパズルが各1ページずつ掲載された別冊も付いているので、それをコピーして使用することも可能です。

またCD-ROMに収録されているパズルは基本pdf形式(加工・修正できない)ですが、パズルによってはpdfに加えてExel(エクセル)のデータが入っているものもあります。

Exel(エクセル)のデータは加工・修正が可能で、パズルの中身(数字の種類や配列)を組み替えることができるため、あらかじめ収録されているものよりもさらに多く取り組みたい場合や、難易度を調整したい場合にも対応できます。

【アセスメントテスト】で子どもの今のレベルを判定できる

『発達障害のある子の認知機能を高めよう!基礎能力アップパズル』に付属のCD-ROMには、パズルの問題に加えて、A(注意力)・C(行動調整力)・W(ワーキングメモリ)それぞれの力の状態を確かめる「アセスメントテスト」も収録されています。

A(注意力)のテストは、ひらがなで書かれた文章の中から、「あ・い・う・え・お」の文字だけを探して丸で囲む、というもの。

正答率と所要時間によって、a(初級)・b(中級)・c(上級)のどのレベルかを判定します。

 

C(行動調整力)のテストは、1~20までの数の中から、抜けている数字や2つある数字に気をつけながら、小さい順に消していく、というもの。

誤答数と所要時間によって、a(初級)・b(中級)・c(上級)のどのレベルかを判定します。

 

W(ワーキングメモリ)のテストは、耳で聞いたものの名前を記憶し、頭の中で種類別にまとめて順序を入れ替え復唱する、というもの。

正答率によって、a(初級)・b(中級)・c(上級)のどのレベルかを判定します。

3つの力それぞれの現状をテストにより判定したうえで、それぞれの力のレベルに合ったトレーニングをすることが可能です。

まとめ

 『発達障害のある子の認知機能を高めよう!基礎能力アップパズル』で伸ばせる3つの脳の認知機能 

●注意力(Attention)

注意をどこに向けるかをコントロールする力(以下の4つの要素がある)

①持続力・・・一定期時間集中し続ける力

②選択力・・・注目すべきものとそうでないものを区別し、必要なものには注意を向けながら、必要でないものを背景におさめておく力

③切替力・・・一つのものから別ものに集中を切り替えることを自在に繰り返す力

④分配力・・・同時に複数のことに留意しながら作業を進める力

●行動調整力(Control)

その場の状況に不必要な反応を抑制し、段取りよく効率的に作業をこなしたり、拙速な判断を防ぎ秩序立った行動を企画する力

●ワーキングメモリ(WorkingMemory)

頭の中で短時間のあいだ情報を保持し、必要なときに保っていた情報を引き出し活用する力。

『発達障害のある子の認知機能を高めよう!基礎能力アップパズル』のおすすめポイント3つ

・教材の効果が研究や実践によって検証されている

・パズルが500枚以上収録されたCD-ROM付き

・【アセスメントテスト】で子どもの今のレベルを判定できる