計算には一定のきまりがあります。
「足し算・引き算よりかけ算・わり算を先に計算する」というきまりを子どもに教える際、「ルールなのだから、そうしないといけない」などと身も蓋もない説明よりも、子どもが納得できる教え方をする方がずっと理解も深まりルールが定着します。
そこで、こちらの記事では
- 足し算、かけ算は交換法則が成り立つ(項の順番を入れ替えても結果が同じになる)
- 引き算、わり算は交換法則が成り立たない(項の順番を入れ替えると結果が変わる)
- 四則(+-×÷)が混じる計算では、計算の決まりに従い×÷を先に計算する
これらについて、子どもにもわかりやすく納得できる説明の仕方についてお伝えします。
「2+3×4はどうして20じゃないの?」となどと聞かれて説明に困る、という方は参考にしてみてください。
計算のきまり(交換法則)
足し算と引き算の場合
下の式のように、足し算の場合、足される数と足す数を入れ替えても答えは変わりません。
一方、引き算の場合は以下のように、数字を入れ替えると式が成り立ちません。
5+3は、正しく言うと、+5(プラス5)と+3(プラス3)のことを示しています。
同様に、5-3は、正しくは+5(プラス5)とー3(マイナス3)のことを示しています。
これを、上のように数字を入れ替え3-5とすると、+3(プラス3)とー5(マイナス5)となり、違う数になってしまいます。
マイナスの数(負の数)は中学1年生で習うので、小学生では具体物を用いて以下のように説明するとわかりやすくなります。
足し算の場合
「りんごが5こあります。3こもらいました。全部で何こ?」
→ 5+3=8 答え:8個
🍎🍎🍎🍎🍎と🍎🍎🍎を合わせる ⇒ 🍎🍎🍎🍎🍎🍎🍎🍎
「りんごが3こあります。5こもらいました。全部で何こ?」
→ 3+5=8 答え:8個
🍎🍎🍎と🍎🍎🍎🍎🍎を合わせる ⇒ 🍎🍎🍎🍎🍎🍎🍎🍎
どちらも全部で8個になります。つまり数字の順番を入れ替えても同じ
引き算の場合
「りんごが5こあります。3こ食べたら、残りは何こ?」
→5-3=2 答え:2個
🍎🍎🍎🍎🍎 2個なくなる ⇒ 🍎🍎🍎
「りんごが3こありました。5こ食べたら、残りは何こ?」
→3から5は引けない(3こから5こは食べられない。)
🍎🍎🍎 あと2個食べられない
つまり引き算は、数字の順番を変えると違う数になります。
かけ算とわり算の場合
かけ算では、かけられる数とかける数を入れ替えても答えは変わりません。
一方、わり算の場合、
となり成り立ちません。
このことを小学生にわかりやすく教えるには、「おはじき」や「お菓子」などの具体物を使って、わり算の意味(「何人に分けられる?」や「1人分は?」)という考えを伝えるのが効果的。
かけ算の場合
「2人が4こずつあめを持っています。 全部でいくつ?」
→4×2=8 答え:8個
(🍬🍬🍬🍬) (🍬🍬🍬🍬)
「4人が2こずつあめを持っています。 全部でいくつ?」
→2×4=8 答え:8個
(🍬🍬) (🍬🍬) (🍬🍬) (🍬🍬)
かけ算の意味は変わりますが、答えはどちらも8になります。
⇒つまり数字の順番を入れ替えても同じ
わり算の場合
「あめが8こあります。4人で同じ数ずつ分けると1人何こずつ?」
→8÷4=2 答え:2個ずつ
🍬🍬/🍬🍬/🍬🍬/🍬🍬
「あめが4こあります。8人で同じ数ずつ分けると1人何こ?」
→4÷8=0.5(1人1個ももらえない)
🍬/🍬/🍬/🍬/ / / / /
つまり わり算は、数字の順番を変えるとちがう数になる。
四則(+-×÷)が混じる計算
四則(+-×÷)が混じる計算では、計算の決まりに従い×÷を先に計算します。
では、「2+3×4」ではどうして「2+3」を先に計算してはいけないの?について、子どもが納得できるよう説明するには、具体的なイメージを用いることが有効になります。
「バラ売りのりんごが2個と、3個入りのりんごが4パックあります。りんごは全部で何個ありますか?」
🍎🍎 + (🍎🍎🍎) (🍎🍎🍎) (🍎🍎🍎) (🍎🍎🍎)
式:2+3×4=14 答え:14個
「2+3」を先に計算してしまうと、
2+3 × 4=14
「2個+3個入りパック」をさらに4倍にする??
このようにして、順番を変えると意味が変わってしまうことに気づかせます。
別の例で考えてみます。
「10円のチョコレート1個と、5円のあめを3個買ったら全部でいくら?」
🍫 🍬 🍬 🍬
10円 5円 5円 5円
式:10+5×3=25
つまりチョコレート(10円)と、あめ3個(5円×3個=15円)を足して25円
もし足し算を先にしてしまったら…
(10+5)×3=45となり違う答えになる。
子どもに計算のルールやきまりを教える際に、「ルールだから」「こうするのが決まりだから」などと意味を理解せずにやり方だけを教えても身につきません。
意味を理解させるには、おはじきなどの具体物を用いたり、絵を描くなどして具体的なイメージを持たせるとわかりやすくなります。