学研教室は、就学前の幼児さんから高校生までが通う学習教室。
学習指導要領に沿ったオリジナルのプリント教材を用いて学ぶ、自学自習スタイルの教室です。
教室数は全国に約14,000教室を展開(2024年時点)。
日本全国に教室があるため通いやすく、小学生のお子さんの通塾を検討される場合の選択肢に上ってくるケースも多いのではないでしょうか。
しかしながら学研教室について、インターネット上で「学研教室は意味ない」といった口コミを目にすることも。
そこで私自身、学研教室について詳しく知るべく、2025年3月に出版された書籍『学研教室 5つのひみつ「夢中になって勉強する子」はどう育つ?』を読んでみることに。

学研教室 5つのひみつ 「夢中になって勉強する子」はどう育つ?
こちらの書籍を読んで、学研教室での学習スタイルやオリジナル教材の秘密、指導にあたり重視しているポイントなどについて詳しく知ることができました。
その結果、学研教室は「意味ない」どころか、子どもが自学自習で楽しく学び、学力に自信をつけて勉強が好きになり、「自分で考える力」を伸ばしていくことができる仕組みがたくさんあることがわかりました。
今回の記事では、『学研教室 5つのひみつ「夢中になって勉強する子」はどう育つ?』を読んでわかった、学研教室で「自分で考える力」が身につく理由についてお伝えします。
学研教室への入会を検討されている方は、参考にしてみてくださいね。
学研教室 基本情報
| 教室名 |
学研教室 |
| 運営会社 | 株式会社学研エデュケーショナル |
| 対象年齢 | 幼児~高校生 |
| 入会金 | 入会金 5,500円(税込) |
| 月額料金 | ●算数・国語(2教科):9,680円(税込) ●算数・国語・英語(3教科):14,520円~(税込) 別途教材費として入会時に16,500円、進級時に9,900円 |
| 公式サイト | 学研教室 公式サイト |
※最新のデータは公式サイトにてご確認ください。
学研教室では、学習指導要領に沿って制作されたオリジナル教材を用いて、すべての教科の土台となる算数・国語を学習します。
(※学年によって英語・理科・社会などの教科をプラスできます)
教室では1教科につき2枚(計4枚)の教材を自学自習で進め、指導者が採点とアドバイスを行いますが、問題の解き方や答えを教えることはしません。
幼児~小学生の教室滞在時間は平均30~50分程度。
週2回の教室学習と毎日の家庭学習(1教科につき1枚/1日分)のサイクルで学び、「勉強するのが当たり前」という意識をそだてます。
学研教室で「自分で考える力」が身につく5つの理由
①学校で学ぶすべての領域を「スパイラル方式」で定着させる
学研教室の指導のベースは学校教育の補完と補充。
そのため学研教室の教材は「学校で学ぶすべての領域を網羅する」を方針とし、文部科学省が定めた学習指導要領の学習内容に沿って制作されています。
例をあげると、小学生「算数」の学習指導要領で定められた学習内容は、以下の5つの領域。
・数と計算
・図形
・測定(1~3年生)
・変化と関係(4~6年生)
・データの活用
学研教室の教材は、この5つの領域すべてをカバーしています。
また小学校「国語」では、学習指導要領の「知識および技能」「思考力、判断力、表現力等」で示された内容をもとに、
・漢字の読み書き
・言葉のきまり
・読解
・作文(表現)
の4分野として総合的に学習。
学研教室の教材を繰り返し学習することで、学校のお勉強で分からない部分をゼロに近づけることができます。
また学研の教材の特徴のひとつが「スパイラル方式」。
スパイラル方式とは、同一分野について少しずつ理解のレベルを上げながら繰り返し学んでいくカリキュラムのこと。
例えば算数の場合、学習指導要領の領域は「数と計算」「図形」「測定」「変化と関係」「データの活用」の5つに分かれていますが、スパイラル方式ではこの5つの領域のそれぞれについて、すでに理解した内容を土台として、うずまき(スパイラル)のように地続きの状態で学習を発展させていきます。
※スマートフォンでご覧の方は、表を横方向にスライドできます。
| 教材 | 学習内容 | 問題の例 |
| 9級3集 | 10までのたし算 | 7+3=10 |
| 9級7集 | 3つの数のたし算 | 7+3+5=15 |
| 9級8集 | くりあがりのあるたし算 | 7+8=15 |
| 8級2集 | たし算の筆算(1) | 17 + 8 25 |
| 8級4集 | たし算の筆算(2) | 97 + 35 132 |
| 7級2集 | たし算の筆算(3) | 736 + 487 1223 |
| 6級6集 | たし算のまとめ |
56325 |
このように同じ分野の内容を、少しずつレベルを上げて繰り返し学習することで「できる」が少しずつ増えていく仕組み。
子どもは自分の成長を実感できるので、勉強がどんどん面白くなっていきます。
➁学年にかかわらず先取り・さかのぼり学習ができる
学研教室の教材は、「1年生用」「2年生用」などと学年別に作られたものではなく、「〇級」という区分で作られた『無学年方式』。
学校の授業ではもの足りない子が先取りで学習したり、逆に学校の授業でつまずいてしまっている子が学習の遅れを取り戻すのに最適な学習システムです。
級の区分は13級から1級まであり、未就園児対応の13級から中学3年相当の1級までとなっています。
| 13級 | 未就園児 |
| 12級 | 年少相当 |
| 11級 | 年中相当 |
| 10級 | 年長および小学1年相当 |
| 9級 | 小学1年相当 |
| 8級 | 小学2年相当 |
| 7級 | 小学3年相当 |
| 6級 | 小学4年相当 |
| 5級 | 小学5年相当 |
| 4級 | 小学6年相当 |
| 3級 | 中学1年相当 |
| 2級 | 中学2年相当 |
| 1級 | 中学3年相当 |
学研教室では入室後や体験学習時に「学力診断テスト」で子どもの現在の学力を把握し、どの段階(ステップ)の教材から学習を始めるかを判断します。
今が何年生であっても適切な学年(級)までさかのぼって学べるため、子ども一人ひとりの学力に合わせた最適な指導が可能に。
例えば、わり算ができない4年生の場合、「かけ算」の理解が曖昧なことが原因であれば、2年生相当の教材から学習をスタートすることも。
当然、実際の学年より下のレベルから現在の学年レベルの学力に追いつくのは時間もかかりますし根気も必要。
しかしながら、教科の学習内容がどのようにつながっているかを、系統表を見ながらしっかりと説明していただけるので、その子にとって、学校の進度に捉われることなく何を優先させるべきか、納得の上で学習を進めていくことができます。

また逆に、現状の学年より先に進める子に向けては、先取り学習が可能。
子どもが学年を先取りして学ぶことは言うほど簡単ではなく、市販のドリルなどを用いて家庭学習している場合、自分で次々と解き進める中で、間違った解き方のまま先に進んでしまうことがあります。
間違ったときにすぐ指摘してくれる、正しい解き方のヒントをくれる、理解が不十分なところまでさかのぼって学習できるようにしてくれる・・・
そんな大人が近くにいることで、子どもは安心して学習に取り組むことができます。
③理解が進んでいる子には「発展教材」でレベルアップも
学研教室では、子どもの性格や学力に合わせて教材のバリエーションを豊富に用意。
理解がゆっくりな子、理解が早くてもっとやりたい子・・・
どの子どもも充実した学習ができるよう、一人ひとりの学力に合わせてカリキュラムを組めるようになっています。
※スマートフォンでご覧の方は、表を横方向にスライドできます。
| 教材名 | 内容 | 役割 | |
| 基礎固め用 | 基本教材 | 学習指導要領で定められた内容 | 基礎内容の理解と定着 |
| 定着教材(算数) | 基礎教材で扱っているレベルの計算や図形、数量関係の問題 | 基本教材で扱う内容の定着・習熟 | |
| 補助教材(国語) | カタカナ、ローマ字、漢字など | 習熟が必要な内容を学習 | |
| レベルアップ用 | 発展教材 | 学習指導要領を超えた内容や、基本教材の内容を深めた問題 | 基本教材での学習を深め、より一層考える力をやしなう |
| 思考力教材(算数) | 解く過程を重視した内容や、自分の考えを表現することを重視した内容 | 思考力・判断力・表現力をつける | |
| 活用教材(国語) | 長文や図表・グラフなどが一体化した非連続型テキストなどの読解 | 思考力・判断力・表現力をつける |
学研教室に通う子どもたち全員が学習するのが「基本教材」。
文部科学省の学習指導要領で定められた学習内容で構成され、基礎内容の理解・定着を図ります。
基本教材を繰り返し学習しても学んだ内容が定着しない子どもには「定着教材」「補助教材」で基礎内容の定着・習熟を図ります。
一方で、理解が早く基本教材だけではものたりない子どもに向けては「発展教材」「思考力教材」「活用教材」が用意されています。
「発展教材」は「基本教材」の学習をより詳しく、より深く考える力をやしなうことができる教材。
「思考力教材」「活用教材」は思考力・判断力・表現力をつけることが目的で、知的好奇心が旺盛な子どもの要求に応える視点で作られています。
「思考力教材」「活用教材」の問題例:
・長文、図表・グラフなどの読解を重視した問題
・規則性や論理的な思考を重視した問題 など
④”指示待ち思考”にならないための初期指導
学研教室では、教室に来てから、学習を終え教室を出るまでにやることのサイクルがしっかり決まっています。
これは「初期指導」と呼ばれ、入会直後にていねいに指導されます。
※スマートフォンでご覧の方は、表を横方向にスライドできます。
| 指導項目 | 指導の意図 | |
| ①入室 | 指導者に挨拶して入室(靴を脱ぐ場合は揃える) | 礼儀作法の定着(社会性) |
| ➁宿題提出 | 持参した宿題を宿題用の箱に入れ、本日分の教材と宿題を受け取る | 指示されなくても次にやるべきことを行動に移せる主体性 |
| ③記入 | 本日の教材に日付・時刻・名前を書いてから問題を解く | これから教材に取り組む気持ちの切り替えや、隅々かで気を抜かず記入する集中力 |
| ④解答 | 解いた教材を指導者に提出し、次の教材に取り組む | 指示されなくても次にやるべきことを行動に移せる主体性 |
| ➄修正 | 宿題で提出した教材や当日の教材に直しがあれば100点になるまで直す | 問題解決力、あきらめずに粘り強く考える力 |
| ⑥記録 | 学習の記録をつける(点数、かかった時間など) | 自己分析・自己管理の力(達成感・反省の反復) |
| ⑦片付け | 片付けをして挨拶をしてから帰る | 礼儀作法の定着(社会性) |
初期指導をしっかり行うことで、子どもたちは「先生、次はどうするの?」といちいち聞かなくても、自ら次のやるべき行動に移ることができます。
結果的に”指示待ち思考””に陥ることを避け、何も言われなくても自分で勉強する習慣が身についていきます。
➄心理学に基づいた6つのステップで学習
学研教室の教材は、心理学の「プログラム理論」に基づいて構成された『プログラム学習教材』。
子どもが自然に楽しく学び、自分の学力に自信を深めていくことができるようスモールステップで進めます。
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| ①囲み | 学習内容の考え方や解き方の説明 |
| ➁試行練習 | 「囲み」の類似問題 |
| ③基本練習 | 「囲み」と「試行練習」のおさらい |
| ④習熟練習 | ヒントなしに自分で考えて解く |
| ➄まとめ | 学習の仕上げ |
| ⑥確認テスト | 次の単元に進めるかどうかのチェック |
①囲み

「囲み」は、その教材の学習内容について、「なぜそうなるのか?」「どうやって解けばいいのか?」といった重要なポイントをわかりやすくまとめて四角い枠で囲んだもの。
具体的な場面設定とイラストや図解により、問題をイメージしやすいようになっています。
学研教室では、指導者は子どもに対し解き方や答えを教えることはしませんが、子どもは「囲み」をていねいに読むことで、誰かに教えてもらわなくても自力で問題を解くことができます。
➁試行練習

「試行練習」は、「囲み」の真下に設置された類似問題。
「囲み」の問題場面と連動した内容で、学んだ知識を頭の中に再現させることにより、問題の仕組みや解き方の手順を確実に理解します。
ここでも、実際に答えを記入したり色を塗ったり等、手を動かしながら学ぶことで理解が促されます。
③基本練習
「基本練習」は、「囲み」と「試行練習」のおさらいとなる内容。
「囲み」「試行練習」のウラ面に記載されており、わからなければオモテ面を見て解き方を確認することができます。
④習熟練習
「習熟問題」はいよいよ本番。ヒントなしに自力で考えて問題に取り組みます。
➄まとめ
①囲み→➁試行練習→③基本練習→④習熟練習の繰り返しで理解のレベルを上げた後、最後に「まとめ」の問題に取り組んで学習の仕上げをします。
⑥確認テスト
次の単元に進めるかどうかをチェックするテスト。
基準点以上なら合格で次の単元に進み、基準点に達しなければ、もう一度できないところに戻って学びなおします。
学研教室では「自学自習」の姿勢を育てることを最も大切な目的としているため、指導者は、問題を解く途中でつまずいた子に、答えや解き方を教えることはしません。
その代わり、「もう一度、囲みを読んでごらん」などと声をかけます。
囲みを読み直すことで、多くの子は「あ、そうだった!」と自分で気づくことができます。
このようにして「自分で解けた!」という達成感を味わった子どもは、人から教えてもらうのではなく自分自身で解き方を考える力がついていきます。
まとめ
学研教室で「自分で考える力」が身につく5つの理由
✅ 「スパイラル方式」で、学校で学ぶすべての領域を定着させる
✅学年にかかわらず先取り・さかのぼり学習ができる
✅”指示待ち思考”にならないための初期指導
✅ 心理学に基づいた6つのステップで学習