学習のつまずき解消のヒントをくれる!『「継次処理」と「同時処理」学び方の2つのタイプ』

「なぜうちの子は、なかなか九九が言えるようにならないんだろう・・・」

「何回繰り返し書かせても、漢字を覚えられない・・・」

など、お子さんの学習に関する悩みは尽きませんよね。

そのお悩み、もしかしたらお子さんの”苦手な学習の仕方”をしていることが原因かもしれません。

子どもが学習する際の、ものごとの「わかり方(認知の仕方)」には2つのパターンがあります。

今回読んだ書籍『「継次処理」と「同時処理」学び方の2つのタイプ』がとても参考になりました。

この本自体は、実際に学校や保育園・幼稚園で指導している先生向けの内容ですが、2つの認知処理スタイルを知ることで、お子さんの学習に関する悩みを解決するヒントが得られるのではないかと思います。

今回は本書を参考に、「継次処理」と「同時処理」2つの認知処理スタイルについてご紹介します。


「継次処理」と「同時処理」 学び方の2つのタイプ: 認知処理スタイルを生かして得意な学び方を身につける

認知機能とは

「認知機能」とは、見たり聞いたりしたものを理解したり記憶するといった、脳のさまざまな機能のこと。

すなわち、

外界からの情報をインプット(視覚・聴覚・嗅覚・触覚・味覚・筋肉運動感覚・固有感覚などの感覚器)

脳の中枢での処理(知覚・記憶・思考・理解・判断)

アウトプット(言う・書く・行う)

これらの一連の活動プロセスのことを指します。

認知機能は、その人の内的要因(脳のレベルや遺伝など)と外的要因(環境や学習など)が関わり合って発達していきます。

認知機能の発達に偏りがあると、できることとできないことの凸凹がとても大きくなります。

そして、ものごとの”わかり方”(認知の仕方)には、「継次処理」スタイルと「同時処理」スタイルの2つのパターンがあります。

ものごとの”わかり方”の2つのタイプ、「継次処理」と「同時処理」

ものごとの”わかり方”(認知の仕方)の2つのパターン、「継次処理」スタイルと「同時処理」スタイルについて、簡単にまとめてみます。

①継次処理スタイル

「継次的」とは、時間的順序にしたがってものごとがなされること。
すなわち、一つ一つの情報を時間的な順序で処理していくのが「継次処理スタイル」の特徴です。

「継次処理スタイル」の特徴は、

・情報を一つ一つ順番に理解し、それらをつないで全体を捉えることが得意(部分→全体へ

聴覚からの情報収集・理解が得意

そのため、学習するときには始めから順序だてて行うことを好みます。

②同時処理スタイル

一方、複数の情報をその関連性に着目して全体的に処理するのが「同時処理スタイル」。
継次処理が得意な子どもとは反対に、「全体から部分へ」という方向を踏まえます。

・物事の全体像をイメージし、情報と情報の関係を把握していくことが得意(全体→部分へ)

視覚からの情報収集・理解が得意

それぞれの認知処理スタイルを生かした学習指導方法

「継次処理」と「同時処理」どちらのスタイルが得意かによって、効果的な学習の方法が変わってきます。

通常、多くの子どもは、多少の強弱はあっても2つの認知処理スタイルがバランスよく発達するため、どちらの認知処理スタイルで教えられても理解できないことはありません。

しかしながら、学習につまずきのある子どもの多くは得意・不得意が極端なため、不得意な認知処理スタイルで教わっても理解がむずかしくなってしまいます。

その場合、学習しても効果が上がらないだけでなく、その課題に対する苦手意識が強くなって意欲の低下を引き起こし、学習すればするほどかえって逆効果になってしまう危険性も。

そこで、お子さんが勉強につまずいている場合には、お子さんの得意な認知処理スタイルに合った学習方法を用いることが大切になります。

①継次処理スタイルを生かした学習指導方法の基本

 

上で述べたとおり、一つ一つの情報を時間的な順序で処理していくのが「継次処理スタイル」の特徴

続次処理的スタイルが得意な子の学習では、以下のことが基本になります。
なお学校の授業では、継次処理タイプの教え方をしている場合が多くなります。

①段階的な教え方

・・・手順をスモールステップ化し、順序立てて取り組ませる。

②部分から全体へ

・・・ 始めから全部を提示せず、まずは部分的に、徐々に全体へと広げていく。

③順序性の重視

・・・1,2,3・・・と番号順に、また左から右へ、上から下へ・・・など順序性を踏まえる。

④聴覚的・言語的手がかり

・・・聞かせる、読ませる、言わせる(言語化)を重視

⑤時間的・分析的要因

・・・順を追って説明する(「まず・・・」「次に・・・」「最後に・・・」など)、分析的結果を踏まえる。

*具体例<漢字の読み書き>

画数が少ない漢字から画数が多い漢字へ、という順に学習する。(③順序性を踏まえる。)

書き順のとおりに教える。(③順序性を踏まえる)

・「たて」「よこ」「ななめ」「まげる」「とめる」など、書く時の運動の方向を言語化しながら書き取り練習をさせる(④聴覚的・言語的手がかり)

※例:「川」という字は、最初は左側に縦の線を書く。次に、その右側に、縦に短い線を書く。最後に、その右側に、いちばん左側の線と同じ長さの線を書く。

・漢字を部首(「へん」「つくり」など)に分け、漢字を構成している部分を明確に示してから漢字全体を見せる。(②部分から全体へ)

・部首の組み合わせを、書くものと書く位置がはっきりわかるよう言語化しながら書き取りをさせる。(④聴覚的・言語的手がかり)
※例:「晴れ」という字は、お日さまの横に青を書く

同時処理スタイルを生かした学習指導方法の基本

複数の情報を全体的に処理するのが「同時処理スタイル」。

同時処理的スタイルが得意な子への指導には、継次処理が得意な子どもとは反対に、「全体から部分へ」という方向を踏まえます。

①全体を踏まえる

・・・まずは目的や結論を最初に提示し、全体のイメージを持たせる。(「今日は〇〇について学習します。」等)。
おおまかにどんなことをやるのかを示し、理解させたうえで教える。

②全体から部分へ

・・・一度で全体がわかるように提示し、全体を捉えさせてから部分に着目させる。

関連性を重視する

・・・何らかの規則にもとづいてグループにまとめるなど、複数の情報を関連づけて学習させる。

④視覚的・運動的手がかり

・・・見せる(視覚化)、動作する(動作化)を重視

⑤空間的・統合的

・・・絵や図で示すなど、空間や位置関係で捉えさせる。

*具体例<漢字の読み書き>

・漢字を絵であらわしたカードを見せ、「水が流れている様子を表しているね」などと、漢字の形を意味付けしながら覚える。(②全体から部分へ、④視覚的・運動的手がかり)

・いろんな漢字を集めた一覧表から、同じ「へん」を持つ漢字を集めさせ、集めた漢字を絵カードとマッチングさせながら意味と読みを学習する。(③関連性の重視)

得意な認知処理スタイルを見分けるために

本書『継次処理と同時処理 学び方の2つのタイプ』には、認知処理スタイルを見分けるチェックリストが掲載されています。

チェックリストには、子ども向けのものと、教師・保護者向けのもの全4種があります。

子ども自身の認知スタイルの傾向を知るだけでなく、教師や保護者が自分の認知スタイルを知ことで、自分の得意なやり方でばかりお子さんに接していたり、お子さんの苦手なやり方を強いていないかを振り返るのが目的です。

認知処理スタイルのチェックリスト4種

(1)子ども用

 ①行動観察・学習観察によるもの

教師・保護者が子どもの行動観察・学習観察を行い、認知スタイルの傾向を把握するもの。

 ②子ども自身が記入するもの(小学校高学年~中学生用)

アンケートとして子ども自身に記入させ、認知スタイルの傾向を把握するもの。

(2)教師用

教師自身の認知スタイルを知るためのもの

(3)保護者用

保護者自身の認知スタイルを知るためのもの

上記のようなチェックテストに加え、科学的な根拠にもとづく検査で認知スタイルの傾向を数値化する方法として、本書では「KABC-Ⅱ」という知能検査が紹介されています。

「KABC-Ⅱ」は、知能検査では唯一、基礎学力を計る学習習得度の評価も取り入れており、認知処理スタイルの傾向(認知尺度)に加えて、読み・書き・算数や語彙の学習習熟度(学習尺度)を測定することで学習支援に繋げることを目的としています。

勉強嫌いの小学生におすすめの教材として別の記事でご紹介しているオンライン学習『すらら』では、2歳6ヶ月~19歳未満のお子さんを対象に「KABC-Ⅱ」の検査を受け付けているようですので、ご興味のある方は一度チェックしてみてはいかがでしょうか。(参照:https://surala.jp/assessment/kabc2/lp/)

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最後に

学習のつまずきにはさまざまな要因が考えられますが、「認知処理スタイル」の特性を踏まえてお子さんをよく観察してみると、もしかしたらつまずき解消のヒントが見つかるかもしれません。

ぜひ、お子さんの特性に合わせた学習スタイルを見つけてみてくださいね。