お子さんの学習や取り組み態度において、
✅学習中に気が散ってしまう
✅すぐにあきらめてしまう
✅指示を聞き逃してしまう
✅漢字が正しく書けない
✅簡単な図形や絵が写せない
…このような問題がある子どもたちの中には、「聞く力」「見る力」の弱さがある子が見られます。
たった数秒間でも聞き続ける・見続けることができず、理解のまちがいや聞きまちがいを積み上げてしまう。
また自分では黒板や教科書を見続けているつもりでも、実は見ることができていない。
これらは学習のつまずきのみならず、友だち関係・きょうだい関係などにも影響してきます。
特に問題なのは、多くの子どもたち自身がこれらの「見る・聞く」の問題に気づいていないこと。
それゆえ子どもたちだけでは改善できず、指導者や保護者の正しい支援が必要になります。
そこで今回は「見る・聞く力」を伸ばし集中力を高めるトレーニング方法について、「実践みんなの特別支援教育」2021年11月号の特集『授業に参加するための 見る・聞く・姿勢のトレーニング』を参考にご紹介します。
参考にさせていただいた記事「よく聞く・よく見ることで集中力を高め 落ち着いて学習に取り組む」を書かれたのは、子どもの教育研究所所長の上島恵(かみしま めぐみ)さん。
公立小学校で32年間教鞭をとった後、発達障害のある子どもたちへの支援や研究に尽力している教育専門家であり、「聞く力」や「集中力」を伸ばすための具体的なトレーニング法や、特別支援教育に関する著書を多数出版されています。
上島さんが提唱されるトレーニングにより、子どもたちの学習中の失敗が減り、学習が楽になるだけでなく自分に自信が持てることを目指していきましょう。
聞く力をつける「聞くトレーニング」
「聞く」に問題がある子どもの聞き方には、いくつかのパターンがあります。
代表的なものは
- だいたい聞く
- ぼんやり聞く
- ときどき聞く
- 聞きたいところは聞く
の4つ。
それぞれに違いはあっても、これらのしっかり聞かない(聞けない)行動が、子どもたちの学習や集団行動、友だち関係での失敗要因ともなっています。
しかしながら、なぜ聞けないのか?というと、どの子も、聞けるポテンシャルはあっても聞き方を知らないのが原因だと考えられます。
そこで、聞く力を育てるトレーニングで、どの子も「聞く」ことができるのだということを実感できることを目指します。
トレーニング1.床に静かに寝る

① 仰向けで手足を伸ばし、静かに「寝る」よう指示する。
➁ ゆっくり5数える間(約10秒間)じっとしているよう指示し、静かな声で「数えるよ。1、2、3、4、5」と数える。
※数えている間、もぞもぞ動いたりクスクス笑ったりしている場合は「今、手が動いているよ」などと声をかける。
③ 動きが止まったらゆっくり起き上がらせる。
「寝る」ことが目的ではなく、大人の声に正しく反応して、多動を自分でコントロールするトレーニング。
「始め」「終わり」の合図に正確に対応することができるようになるのがねらいです。
寝る時間を15秒、20秒と長くしていき、最終的には1分間静かに寝ることができるようになることを目標にしましょう。
トレーニング2.ぐるぐる描き
こちらのトレーニングは、上でご紹介したトレーニング1のあと、すぐに続けて行うのが効果的。
① (トレーニング1のあと)静かに起きて、席につくよう指示を出す。
➁ 静かに着席できたら、B4サイズの紙を配る。
※この時におしゃべりを始める子がいた場合は、再びトレーニング1(20秒ほど)を行う。
③ 「今から紙に落書きをします」「落書きと言っても好きな絵を描くのではなく、紙全体が真っ黒になるまで、ぐるぐると線を描き続けます」と伝える。
④ 『3つの約束』を伝える。
「一つ、鉛筆の芯を折ってはいけません」
「二つ、紙からはみ出して描いてはいけません」
「三つ、スタートとストップに合わせます」
➄ 「スタート」の合図で描き始め、10秒たったら一旦「ストップ」の合図で止める。
⑥ その後、さらにその紙に描き続けるよう合図をして、30~40秒間、紙が真っ黒になるくらいまで続ける。

このトレーニングは、集中して指示を正確に聞きとることができるようになるのがねらい。
このトレーニングが定着したら、正しく行動できる聞き方、さらには考えることができる聞き方を身につけることを目指していきます。
トレーニング3.番号打ち
① 10個の点がランダムに並んだ紙を渡す。
➁ 「たくさんの点がありますね。真ん中の点を探してください。」と指示する。
「見つけた点を1とします。数字の1を点の近くに書いてください。」
「いちばん上の点に3」
「いちばん右の点に4」
…「好きなところに9」
というように、1を中心に用紙の端のほうから番号をすべての点につけるよう指示する。

目標は数字を書くことではなく、指示を聞き取り聞き続けること。
トレーニング4.点つなぎ
トレーニング3で用いた用紙をそのまま使用します。
① 「1から10までを順に線でつなぎます。」「ただし、できるだけ直線でつないでください。」と指示する。
➁ 最後までできたら「できました」と声を出すよう指示し、スタートの合図と同時にストップウォッチで計測する。
③ できたらタイムを知らせ、用紙に書かせる。
④ うまく線をつなげるようになってきたら、
「40から始めて1まで逆につなげる」
「1~10は赤鉛筆で、11~20は黒でつなぐ」
などのように指示を複雑にする。
「聞く力」を「聞きとる力」「理解する力」に近づけていくのがねらいです。
トレーニング5.数字の聞き取り
① マス目ノート(プリント)を用意する。
➁ 1秒に1個の速さで、1~9の数字を20個ほどランダムに読み上げ、マス目に書かせる。(読む速度でレベルを調整する)
③ 達成度に合わせて指示を変える。
例:「数字をそのまま書かず、二つ多く(少なく)して書く」「3をかけた数字を書く」など
見る力をつける「描き写しトレーニング」
描き写しトレーニングでは、絵カード、コピー用紙、色鉛筆を用意します。
トレーニング⑥絵カードを描き写す
① 絵カードとコピー用紙を1枚ずつ配る。
➁ 紙を二つ折りにさせ、折った紙の間に絵カードを挟むよう指示する。
③ 紙の上からうっすら見えている絵カードの絵をなぞって描き写すよう指示する。
※絵カードは絵の輪郭がはっきりしたものを使うが、よく見ないと見えない程度がよい。(はっきり見える場合は紙を重ねる。)
トレーニング⑦絵に色を塗る
① (トレーニング⑥で)輪郭が描き終わったら絵カードを取り出し、見えなかったところや描きもらしたところを描き足させる。
➁ 絵カードを見ながら色鉛筆で塗る。
このトレーニングでも、輪郭を無視して塗る、見本を無視して塗る、時間をかけすぎるなどの問題が見られる場合も。
作品として仕上げる必要はありませんが、見ることの問題改善のためには絵カードに近づける練習が大切。
最後に
「見る力」「聞く力」を育て集中力を高めるトレーニングをさらにレベルアップしていきたい方は、今回、参考にさせていただいた記事「よく聞く・よく見ることで集中力を高め 落ち着いて学習に取り組む」を書かれた上島恵さんの著書『子どもの「集中力」を育てる聞くトレ―聞く・見る力を改善する特別支援教育 』がおすすめ。
本書には、こちらの記事でご紹介したものを含め、「よく聞く」「よく見る」「集中力を持続させる」力をつけるための27のトレーニングが収録されています。

子どもの「集中力」を育てる聞くトレ 聞く・見る力を改善する特別支援教育 (ヒューマンケアブックス)

