小学校低学年の算数でつまずきやすいポイントが「繰り上がり」。
2ケタ以上の足し算になるといっそう難しくなりますが、ケタ数の多い計算も、1ケタ同士の足し算が基本となります。
お子さんが繰り上がりにつまずいている場合、原因として、
・繰り上がりのやり方の仕組みが理解できていない
・「あといくつで10になる(10の補数)」が直感的にわからない
このどちらかが考えられますが・・・
もし「10の補数」がなかなか覚えられないことが原因で繰り上がりにつまずいている場合、別の考え方として「5のまとまり」を用いる方法があります。
「10の補数」を用いた繰り上がりの足し算の方法
通常、学校の算数で習う繰り上がりの足し算は、10のまとまりを作るやり方で計算します。
例:9+7の場合
9の補数は1(あと1で10になる)
だから・・・補数の1を7からもらいます。
7を1と6に分ける。
9に1をあげて10。
10と6で16
答え:16
上記では、足す数と足される数のうち、大きい方の数(10に近い数)の補数を使って計算しています。
「5のまとまり」を使って繰り上がりの足し算をする方法
一方、「5のまとまり」を使う繰り上がりのやり方は、以下のとおり。
例:9+7の場合
9は5と4に分けられる。
7は5と2に分けられる。
9+7
=(5+4)+(5+2)
=(5+5)+(4+2)
=10+6
=16
答え:16
上記では、足される数9と足す数7を、それぞれ「5といくつ」に分けて計算しています。
百玉そろばんで玉を入れてみるとわかりやすいですね。
※上2段の黄色い玉・・・5と5で10、赤い玉・・・4と2で6
子どもにとって「5のまとまり」は理解しやすい
上でご紹介した「5のまとまり」を使って計算する方法がなぜ理解しやすいかというと、「5」という数が子どもにとっては特別な数だから。
それは、手の指が5本であるということが関係しています。
小学1年生と4年生を対象にした研究では、1年生で、5を含む足し算(例えば5+3や4+5など)は、5を含まない足し算(例えば4+2や6+3など)よりも反応時間が早いという結果が出ています。(栗山和弘、吉田甫「心的加算における数の表象構造について」)
なお4年生では、1年生のような結果は出ておらず、学校で10進法を中心とした算数教育を受けていく中で、5のまとまりをベースに数をイメージすることが徐々に少なくなっていくものと考えられています。
その過渡期にある小学校低学年のお子さんにとっては「5のまとまり」で考えるのは有効な手段なので、お子さんが繰り上がりでつまずいている場合には、ぜひ一度試してみてくださいね。