「うちの子は漢字をぜんぜん覚えられない・・・」とお悩みの親御さんは、「覚えるまで何度も繰り返し書かせよう」と考えてしまいがち。
しかしながら、むやみに反復練習をさせるだけでは、漢字を覚えられないだけでなく、ますます漢字学習が嫌いになってしまいます。
お子さんが漢字を覚えられないのは、もしかしたらお子さんの”苦手な学習の仕方”をしていることが原因かもしれません。
子どもが学習する際の、ものごとのわかり方(認知の仕方)には「継次処理」「同時処理」の2つのパターンがあり、どちらのスタイルが得意かによって、効果的な学習の方法が変わってきます。
今回の記事では『長所活用型指導で子どもが変わる』を参考に、お子さんの得意な認知処理スタイルを生かした漢字の読み書きの指導の基本についてご紹介したいと思います。
長所活用型指導で子どもが変わる: 認知処理様式を生かす国語・算数・作業学習の指導方略
認知処理機能(ものごとの”わかり方”)2つのタイプ
「認知機能」とは、見たり聞いたりしたものを理解したり記憶するといった、脳のさまざまな機能のこと。
すなわち、
↓
脳の中枢での処理(知覚・記憶・思考・理解・判断)
↓
アウトプット(言う・書く・行う)
これらの一連の活動プロセスのことを指します。
そして、ものごとの認知のしかた(わかり方)には、「継次処理」スタイルと「同時処理」スタイルの2つのパターンがあり、どちらのスタイルが得意かによって、効果的な学習の方法が変わってきます。
お子さんが勉強につまずいている場合には、お子さんの得意な認知処理スタイルに合った学習方法を用いることが大切になります。
「継次処理」スタイル
「継次的」とは、時間的な順序にしたがってものごとがなされること。
すなわち、一つ一つの情報を時間的な順序で処理していくのが「継次処理スタイル」の特徴です。
「継次処理スタイル」の特徴
・情報を一つ一つ順番に理解し、それらをつないで全体を捉えることが得意(部分→全体へ)
・聴覚からの情報収集・理解が得意
そのため、学習するときには始めから順序だてて行うことを好みます。
なお学校の授業では、継次処理タイプの教え方をしている場合が多くなります。
「継次処理」スタイルを生かした学習指導方法の基本
継次処理スタイルを生かした学習指導方法の基本
①段階的な教え方
手順をスモールステップ化し、順序立てて取り組ませる。
②部分から全体へ
始めから全部を提示せず、まずは部分的に、徐々に全体へと広げていく。
③順序性の重視
1,2,3・・・と番号順に、また左から右へ、上から下へ・・・など順序性を踏まえる。
④聴覚的・言語的手がかり
聞かせる、読ませる、言わせる(言語化)を重視
⑤時間的・分析的要因
順を追って説明する(「まず・・・」「次に・・・」「最後に・・・」など)、分析的結果を踏まえる。
「継次処理」タイプの漢字学習のポイント
同時処理に弱い継次処理タイプの子は、漢字全体の形を把握して、その形を構成することに困難を感じる場合が多くなります。
そのため、最初に漢字を部分に分解して提示し、分解したものを組み立てる、”足し算”の方法を用いると効果的。
「継次処理」タイプの漢字学習のポイント
・画数が少ない漢字から画数が多い漢字へ、という順に学習する。(③順序性を踏まえる。)
・書き順のとおりに教える。(③順序性を踏まえる)
・書く時の運動の方向を言語化しながら書き取り練習をさせる(④聴覚的・言語的手がかり)
※「たて」「よこ」「ななめ」「まげる」「とめる」など
・漢字を構成している部分を明確に示してから漢字全体を見せる。(②部分から全体へ)
※部首(「へん」「つくり」など)ごとに分ける
・部首の組み合わせを、書くものと書く位置がはっきりわかるよう言語化しながら書き取りをさせる。(④聴覚的・言語的手がかり)
「継次処理」スタイルの漢字学習方法
語頭音を手がかりにして読む
漢字の読みの語頭音(さいしょの文字)を手掛かりに、読みがなを段階的に振らせる。
例:山(やま)
①「やま」の最初の文字(「や」)だけを提示して、読み方を答えさせる。
➁「〇〇」と文字数のみを提示して、読み方を答えさせる。
③ヒントなして、読み方を答えさせる。
カルタ取り(短文を読む)で覚える
漢字を含んだ短文カードを2組作り、カルタ取りをさせる。
(読む)読み手となり、読み札(漢字に読みがながふってあるもの)を読む。
(取る)読み上げられた文を聞いて、取り札(漢字に読みがながふっていないもの)を取る。
「書き順カード」を用いて書く(画数の少ない漢字)
書き順カードを1枚ずつ見せ、「1.よこ」「2.たて」など、書き順と、書くときの動き・方向を言語化させながら書き取り練習をする。
※「たて」「よこ」「ななめ」「まげる」「とめる」など
「部首カード」を用いて覚える(画数が多い漢字)
画数が多くむずかしい構成の漢字は、最初から漢字全体を見せず、図のような漢字カードを用いて、漢字を構成している部分を明確に示す。
おひさま たす あお は はれ
「晴れという字は、お日さまの横に青を書く」
「花という字は、草の下にイヒを書く」
など、書くものと書く位置がはっきりわかるよう言語化させながら書く練習をする。
「へん」と「つくり」を用いて覚える
「へん」のカード、「へん」のイラストカード、「つくり」のサイコロを用いて漢字を作る。
①「へん」のカードを示し、「へん」には意味があることを教える。
例:「さんずい」は水しぶきを表している。
➁「つくり」のサイコロを振り、出た「つくり」と「へん」を合わせて漢字を作らせる。
③できた漢字の意味と読みを知る。
例:「さんずい」がつく漢字は水と関わりがあることを理解させる。
同時処理スタイル
複数の情報を、その関連性に着目して全体的に処理するのが「同時処理スタイル」です。
「同時処理スタイル」の特徴
・物事の全体像をイメージし、情報と情報の関係を把握していくことが得意(全体→部分へ)
・視覚からの情報収集・理解が得意
同時処理スタイルを生かした学習指導方法の基本
同時処理的スタイルが得意な子への指導には、継次処理が得意な子どもとは反対に、「全体から部分へ」という方向を踏まえます。
同時処理スタイルを生かした学習指導方法の基本
①全体を踏まえる
まずは目的や結論を最初に提示し、全体のイメージを持たせる。(「今日は〇〇について学習します。」等)。
おおまかにどんなことをやるのかを示し、理解させたうえで教える。
②全体から部分へ
一度で全体がわかるように提示し、全体を捉えさせてから部分に着目させる。
③関連性を重視する
何らかの規則にもとづいてグループにまとめるなど、複数の情報を関連づけて学習させる。
④視覚的・運動的手がかり
見せる(視覚化)、動作する(動作化)を重視
⑤空間的・統合的
絵や図で示すなど、空間や位置関係で捉えさせる。
「同時処理」スタイルの漢字学習のポイント
「同時処理」タイプの子には、部首や漢字があらわしている意味、似ている漢字の関連性などを重視した学習が効果的。
「同時処理」タイプの漢字学習のポイント
・漢字を絵であらわしたカードを見せ、漢字の形を意味付けしながら覚える。(②全体から部分へ、④視覚的・運動的手がかり)
※「”川”という漢字は、水が流れている様子を表しているね」など
・いろんな漢字の中から同じ「へん」や「つくり」を持つ漢字を集めさせる。(③関連性の重視)
「同時処理」スタイルの漢字学習方法
・象形文字を用いて覚える
象形文字を用いて漢字の意味を理解させ、象形文字と漢字をマッチングさせる。
例:
「人」という漢字は、立っている人を横から見た様子を書いた文字。
「休」という漢字は、「人」が「木」の影に腰を下ろして休んでいる様子を書いた文字。
・漢字絵カードを用いて覚える
漢字絵カードを見せ、「水が流れている様子を表しているね」などと、漢字の形をイメージさせるような説明をする。
※形が正しく書けていればよいこととし、書き順にはこだわらないで書かせる。
・「へん」と「つくり」を用いて覚える
①さまざまな漢字のカードを用いて、同じ「へん」を持つ漢字の仲間を集めさせる。
集めた漢字の意味と読みを、イラストカードとマッチングさせながら学習する。
➁同じ「へん」ごとに漢字カードとイラストカードをマッチングさせて、漢字の意味と読みを学習する。
認知特性に合わせて漢字が覚えられる「すらら漢字アドベンチャー」
上でご紹介したとおり、ものごとのわかり方(認知の仕方)には「継次処理」「同時処理」の2つのパターンがあり、どちらのスタイルが得意かによって、効果的な学習の方法が変わってきます。
このたび、お子さんの得意な認知特性に合わせて学習できる、新しいオンライン漢字学習教材「すらら漢字アドベンチャー」がリリースされました。
すらら漢字アドベンチャー 基本データ
<サービス開始> 2024年12月10日~
<内容> 小学3年生の漢字(200字)
<学習端末> 手持ちのPC・タブレット
<料金>
・無学年制オンライン学習サービス「すらら」契約者は無料
・「すらら漢字アドベンチャー」のみ契約: 月額1,078円(税込)、入会時に認知特性WEB診断テスト「LIFT」受診料金3,278円(税込
*詳しくは「すらら漢字アドベンチャー」公式サイトを確認>>>従来の漢字学習を覆す!すらら漢字アドベンチャー
「すらら漢字アドベンチャー」が、
☑漢字の「反復学習」が苦痛
☑漢字を繰り返し書いても覚えられない
・・・というお子さんにおすすめなポイントを3つに絞ってお伝えします。
①WEBテスト「LIFT」で、得意な認知処理スタイルを診断
すらら漢字アドベンチャーでは、学習スタート時にWEB診断テスト「LIFT」(リフト)で、得意な認知処理スタイルを診断。
「継次処理タイプ」か「同時処理タイプ」かによって、3つの学習方法の中から、おすすめの学習方法に誘導してくれます。
お子さんの認知特性に合わせて、もっとも効果的な方法で漢字を学習することができるしくみになっています。
3つの学習方法から、得意な認知処理スタイルに合う覚え方を提示
「すらら漢字アドベンチャー」の漢字学習3つの覚え方は以下のとおり。
①声に出して覚える
音声で読み上げられる漢字の書き方を耳で聞き、それを声に出して言いながら漢字を書きます。
始めはお手本のなぞり書き、次に一人で書いてみる練習、というように、徐々にステップアップしながら覚えていきます。
その漢字を使った語彙も、一つずつ順番にイラストとともに意味を紹介しながら理解をすすめていきます。
⇒物事を順序だてて理解することが得意な「継次処理」タイプのお子さんに合う学習方法。
➁「まちがいさがし」でおぼえる
漢字全体の形を見てから、漢字を構成する細かいパーツ(部首など)に注目して形を覚えていきます。
漢字の中で、おかしな形の部分を見つける「まちがいさがし」を繰り返すことで漢字の正しい形を覚えます。
さらに、イラストを用いて漢字の成り立ちを説明し、漢字の形の正しい理解をイメージすることで、理解を深めていきます。
⇒初めに全体像を把握してから詳細を理解することが得意な「同時処理」タイプのお子さんに合う学習方法です。
③パーツの組み合わせでおぼえる
漢字をパーツに分解し、それをパズルのように組み合わせて正しい漢字を組み立てる方法。
徐々に分解するパーツの数を増やして漢字の形を正確につかめるようにし、最後は自分で書くことができるように。
⇒「同時処理」タイプの中でも、まずは構成要素に注目、その要素を組み合わせて全体像を把握するのが得意なお子さんに合う学習方法。
日をあけて3回、ドリルで定着。ワーキングメモリにも配慮
それぞれの学習方法によるレクチャーで理解した漢字は、その後に出題される3~4問程度のドリルで定着を図ります。
レクチャー同様、ドリルの問題もタイプに合わせて学習効果の高い問題形式で出題されます。
また、同じ漢字は日を空けて3回出題され、3回クリアした漢字は『おぼえた漢字』としてマイページに表示されるしくみ。
ワーキングメモリーや理解の定着に苦手がある子も、しっかり定着していることを確認しながら学習をすすめられるようになっています。
最後に
「すらら漢字アドベンチャー」の学習内容は現状、小学3年生の漢字のみですが、今後、ほかの学年についても開発を進めていく予定とのことなので、楽しみに待ちたいですね。
「すらら漢字アドベンチャー」の学習スタート時に受講する認知特性WEB診断テストでお子さんの得意な認知スタイルがわかれば、「漢字アドベンチャー」でお子さんにピッタリの漢字学習ができるだけでなく、漢字以外の学習でも、お子さんの得意な認知スタイルに合わせて学習をすすめるヒントにもなります。
☑お子さんが漢字をなかなか覚えられない
☑漢字を書いて覚えるのを嫌がる
☑お子さんの認知特性に合わせた効果的な学習方法を知りたい
・・・このような方は、いちど「すらら漢字アドベンチャー」公式サイトで詳細をチェックしてみることをおすすめします。