私の教室の小学生クラスでは、学校や塾のように「算数」「国語」などの教科を教えるのではなく、計算や図形、漢字や言葉などを考える材料にしたクイズやパズル形式の問題を解くことで、考える力を伸ばすことを目指しています。
ですので、足し算や引き算のやり方を教えたり、計算が早くできるようになるのがレッスンの目的ではありません。
一方、計算を徹底的に反復することで計算力をアップさせる『百ます計算』は、レッスンの目的とは一見離れているようにも思えますが、場合によってはレッスン冒頭に百ます計算を入れたり、宿題として取り入れたりもしています。
今回は、私が「計算」や「お勉強」を教える教室じゃないのに『百ます計算』を取り入れている理由と目的についてお伝えします。
「計算」や「お勉強」を教える教室じゃないのに『百ます計算』を取り入れる理由とは
理由1:計算を“ツール”とした問題で「考える力」を伸ばすのに計算力が必要なため
レッスンでは計算ができるようになること自体を目的にしていませんが、計算が”考える材料”となっている問題の場合、たとえば・・・
『たし算パズルA 初級編』
強育パズル18 たし算パズル 初級編 【小学校全学年用 算数】 (考える力を育てる)
マスの中に1~9までの数字を入れます。
→または↓からつづくマスの数の和が、数字と等しくなるようにします。
ひと続きのマスの中に同じ数を入れてはいけません。
この問題の場合、”足して〇になる数”の組み合わせを用いてパズルを完成させる、すなわち”計算”が考えるためのツールとなっています。
ですので計算ができないと問題が解けない、つまり考えることができなくなってしまいます。
それでは”考える力を伸ばす”という本来の目的を達成することができませんので、計算の正確性とスピードをあげるために『百ます計算』を取り入れています。
陰山英男の徹底反復 プレ百ます計算 (教育技術MOOK 陰山メソッド)
陰山メソッドの『徹底反復 百ます計算』は、取り組む問題の難易度がどんどん上がっていくのではなく、同じ問題が2週間ぶん続きます。
日々タイムを図って同じ問題に取り組み、タイムを縮めることを目指していく教材です。
これにより、むずかしい計算ができるようになることではなく、基本的な1ケタ・2ケタの計算のスピードと正確性を上げていくのが目的です。
問題を解くのに「計算を間違えてしまう」ことや「計算に時間がかかりすぎる」ことが“考える力”を伸ばすことのさまたげにならないように、というのが、レッスンで百ます計算を取り入れている理由の1つです。
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理由2:レッスン冒頭に「集中力」を一気に高めるため
ごく簡単な計算問題を反復するのが百ます計算。
百ます計算を提唱した陰山英男先生が「百ます計算の本当の効果はこれ」と述べているのが、”集中力”を高めること。
百マス計算で前回よりもタイムを縮めようとすることで、集中力が一気に高いレベルまで跳ね上がります。
それを繰り返すことでどんどん集中力がつき、その集中力が他の勉強をするときにまで波及していくのです。
教室ではレッスン冒頭に、一気に集中力を高めてアタマをレッスンモードに切り替えめるために「音読」などを取り入れていますが、学習の冒頭に行うことで頭を勉強モードに切り替えグッと集中を高める目的で行う取組のひとつとしても、『百ます計算』は効果的です。
大事なのは”短時間でグッと集中する”ということなので、百ます計算以外では音読や以下のような教材も、学習の冒頭に行う「勉強スイッチ」として活用しています。
『右脳をきたえる!ひらめきドリル』
☆七田式(しちだ)プリント教材☆右脳をきたえる!ひらめきドリル☆★
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勉強は、最初の取りかかりが最も集中するのが難しいと言われています。 やらなくてはいけないとわかっていても、どうしてもグズグズして勉強を始められなかったり、机の上にノートやテキストを広げてはみるもののダラダラして集中できなかったり。 […]
最後に
上にあげた以外にも、簡単な問題をスピーディーにこなすことで「自分はできる!」という自信をつけることができるのも『百ます計算』の効果。
自信をつける→やる気になる→もっと勉強をがんばる→もっとできるようになる→さらに自信をつける、という好循環のサイクルを作りだすことが、小学生、特に低学年のお子さんにとっては重要になります。